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Pachinko in Tsurumi

AUTHOR

Kazuaki SAKURAI

パチンコ店は、都市の中にありながら、⻑時間の滞在が可能な独特の環境として成⽴している。空調が整い、飲み物や休憩スペースが⽤意され、座席に座っている限りは誰からも⼲渉されない。そのうえ、遊技を通して⾦銭的な⾒返りを得られる可能性もある。娯楽であると同時に、滞在場所としての機能を備えている点は他ではあまり⾒られない。こうした条件が揃うことで、⼈々は時間の使い⽅や⽬的を問われることなく、ここに⻑く留まることができる。
さらに、三店⽅式の存在によって、公営ギャンブルのような特別な場所という印象が薄れ、⺠営の娯楽施設のように⼊りやすい環境が保たれている。誰でも気軽に⽴ち寄れる外観と仕組みが、幅広い利⽤者を⾃然に受け⼊れる背景になっている。
今回訪れた店舗もその例にもれない。郊外に位置し、広い駐⾞場が整えられ、⾞での来店が前提になっている。⾞であれば周囲の視線を気にせず出⼊りでき、個々の事情や⽣活の気配を外から読み取られにくい。こうした匿名性の⾼さが、利⽤者の属性を表⾯から判断しにくい状況をつくり出している。
店内を観察すると、そこにはさまざまな時間の過ごし⽅が⼊り混じっていた。遊技に強く集中している⼈、スマートフォンに没頭して台の画⾯をほとんど⾒ていない⼈、周囲の⾳や動きを気にして視線を巡らせる⼈、特に楽しむ様⼦も退屈する様⼦も⾒せない⼈など、多様な振る舞いが同じ空間の中で並んでいた。ここに集まる理由や滞在の⽬的は⼀⼈ひとり異なっているように⾒えるが、それを外⾒や態度から判断することは難しい。こうした状況は、パチンコ店が特定の⽬的に利⽤者を縛らず、さまざまな動機を受け⼊れていることを物語っている。
設備もまた、この滞在の多様性を⽀えている。店内には⼀⼈で腰掛けられるソファーが随所に置かれ、遊技をしていない時間でもゆっくり過ごすことができる。⾷事や買い物のための離席も許され、⻑時間を店内で過ごす⽣活のようなリズムが⾃然に形づくられている。USB 充電ができる台、飲み物の⾃動販売機、冷蔵機能付きロッカーなどの設備も整っており、店内で時間を連続的に過ごすことを可能にしている。
これらを踏まえて考えると、パチンコ店は単に遊技を提供する場にとどまらず、⼈々が事情を抱えながら静かに滞在できる場所として機能していることがわかる。滞在時間の⻑さ、⽬的の曖昧さ、出⼊りの気軽さが重なり、店内には外からでは分からない多様な背景の⼈々が共に存在している。今回の観察は、パチンコ店が都市のなかで⾃然に形成している、⽬には⾒えにくい共存の場としての側⾯を浮かび上がらせる。

MAIL:muraji@meiji.ac.jp

214-8571 
A1107, 1-1-1 Higashi-Mita, Tama, Kawasaki, Kanagawa
Meiji University School of Science and Technology

〒214-8571
神奈川県川崎市多摩区東三田1-1-1
明治大学理工学部建築学科
第二校舎A館11F  A1107 

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