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Family Restaurant in Imagawa, Suginami
ファミリーレストランの変遷
1971年、日本初のファミリーレストランが開店した。アメリカの郊外型コーヒーショップを参考にしてつくられ、70年代当初は特別な日に家族で外食するための非日常の場所として最盛期を迎えていた。しかし、コモディティ化の波や呼び出しボタン、セルフレジなどの技術発達、セントラルキッチン等のシステムによって実現した低価格での提供等によって、非日常を堪能する場から日常的に利用する場と変わっていった。さらには、家族という共同体の解体や一人客を積極的に受け入れる企業側の戦略もあり、ファミリーレストランが担う機能は徐々に変遷を見せてきた。現在ではこれらの事柄に加えてドリンクバーやFree-Wifiの要素と、コロナ禍を経て高まったサードプレイス需要により、「安くて長く滞在できる場」としての認識が確実に広がりを見せている。特に、今回対象としたサイゼリヤは低価格であることを特徴としたファミリーレストランであり、上記のような性質が顕著にみられる。ドリンクバーは200円で利用可能であり、その他のメニューも含めて、低価格であることは幅広い年代層に支持される所以でもある。
排除と包摂
なにより、「安くて長く滞在できる場」としてファミリーレストランが捉えられている、またはその機能が求められていることは、都市空間の中に滞在できる場所がない、あったとしても値段が高いなどの理由から来るものであり、すなわち本来であればファミリーレストランの外部で担保されていた機能が排除され、包摂を求めた結果である。こうした社会状況の変化の中でも、ファミリーレストランは名称を変更せずに稼働し続け、一方では継続的に家族を始めとした食事を外で済ますことが目的の客をターゲットにしつつ、他方では特に食事をする訳でもなく滞在することが目的の客が満足できるシステムが、意図的であるかどうかは曖昧に、整えられている。
郊外型店舗の現在
対象店舗である杉並今川店は杉並区の郊外に位置しており、最寄り駅からは徒歩20分ほどを要する。そのため駐車場を広くとっているが、満車になっていることも少なくない。周辺は住宅街に囲まれ、家族連れの客が多く訪れる。特に夕方時には子供の騒ぐ声があちこちから聞こえ、店内はとても賑やかな様子を見せる。また、中学校や高校も周辺に存在し、若者が多くいる町であることから勉強している学生や友人と集団で訪れる若者らも頻繁に見かける。その他、ひとりでパソコン作業を行っている客やスマートフォンで動画を見ている客が訪れることもある。このように、杉並今川店は立地の特性上、従来の”ファミリー”レストランとしてまだまだ機能しつつ、「安くて長く滞在できる場」として認識され始めた新たな波も受け止めている、複雑さを抱えた店舗である。つまり、食事、または滞在、あるいはその両方を求めた人たちが混在した店舗となっている。
見えないスラム
あらゆる人を包摂した結果現れたその混在した様子は、利用客の間に確実に存在するはずの格差が隠蔽され、ファミリーレストラン独特の雰囲気と共に一見フラットな穏やかさを見せてもいる。その格差が不可視化された状態をここでは「INVISIBLE SLUM」と呼び、その状態が生まれる要因のひとつとして、サービスが容易に手に入ることだと仮定する。本調査は、設定した仮定の上で、成り立たせているシステムも含めながらINVISIBLE SLUMを描き出すことを目標とした。

